第6章

紗枝の視点

翌日の午後、私はソファに丸くなって、おばあさんのお気に入りのドラマを彼女と一緒にぼんやりと眺めていた。頭の中では、昨夜の出来事が繰り返し再生されていた。あの情熱的な眼差し、肌の触れ合い、そして私に押し付けられた彼の硬い感触まで、その一つひとつが。

『くそっ、私はいったい何を考えてるの? 彼に騙されちゃだめ。あいつが浮気者のクソ野郎だってこと、忘れちゃいけない。でも……』

「あの男は本当にクズだねえ」アブエラは画面の主役を憤慨したように指差した。「どうして女っていうのは、物事の本質が見えないのかしらね?」

その言葉にはっとして、現実に引き戻した。『そうよ、どうして女は本質が...

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