第6章

「退院したいんです」翌朝、私は担当の看護師さんにそう告げた。

「あなた、四日前に大手術を受けたばかりでしょう。真嶋先生は、少なくとも一週間はここにいてほしいとおっしゃっていますよ」

「大丈夫です。家で療養できますから」

「赤ちゃんはどうなさるんですか? 真嶋先生に容態を確認してみますね」

その言葉に、私は凍りついた。息子を置いていくわけにはいかない。でも、ここにいれば煌と顔を合わせることになる。好奇の視線に晒され、自分が招いた厄介な状況と向き合わなければならない。

「あの子は、いつか退院できるか分かりますか?」

彼女はタブレットを確認した。「実は今朝、真嶋先生がカルテを更新さ...

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