チャプター 1023

冬が到来した。タアディ北東部の人々がこぞってミンクや毛皮のコートを身にまとい始める季節だ。それと同時に、高級ファッションブランドと環境保護団体の間で繰り広げられる恒例の論争も、再び幕を開けた。

近年、タアディの小金持ちたちは、我先にとミンクや毛皮のコートを着飾る流行に飛びついている。だが、そうした装いをする人々が増える一方で、それに反発する人々の数もまた増加の一途をたどっていた。

例年通り、市民に「脱・毛皮(ファー・フリー)」を促す活動が組織された。今年の冬、これらのキャンペーンの開始は少し遅かったものの、その内容はかつてないほど過激なものとなっていた。

またしても、サハラはこの熱狂の渦...

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