チャプター 1063

カイルは外の物音で誰かが助けに来たと気づいたが、あいにくベッドから動くことができなかった。おまけに口には猿轡(さるぐつわ)を噛ませられ、言葉を発することもできない。ただ唸り声を上げることしかできず、その声は長い間誰にも届かなかった。

昨夜は、まさに人生で最も暗い夜の一つだった……。

仕事に追われていた彼は、飲み物を一口飲んだ直後に意識を失ったのだ。目が覚めたときには、なんと鞭を持ったあの「雌牛」が彼の上に跨っていた!

なんという恐怖だ!

ネイサンの姿を認めると、カイルは狂喜乱舞した。足をバタつかせ、目をカッと見開き、必死に何かを喚き散らす。

ネイサンが歩み寄ると、脇には革の鞭や蝋燭、...

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