第1108章

ステート・ホテルの三階にある宴会場では、ジェロームとエリザベスの婚約式が華やかに執り行われていた。

会場には数多くの招待客が詰めかけ、その中にはターディ市のみならず、世界各地から集まった名士たちの姿もあった。

スミス・グループとジョーンズ・グループ、それぞれの総帥であるジェロームとエリザベスの結合は、まさに天が定めた良縁と言えた。それは予想外の出来事ではあったが、同時に理にかなった話でもあったのだ。

式典の最中、上品なスーツに身を包んだジェロームは、ワイングラスを片手に、この華やかな「虚栄の市」を回るエリザベスの後につき従っていた。世界中から集まったエリートたちに囲まれ、彼はまるで水を得...

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