第1183章

双方が挨拶を交わし終えると、互いに向かい合って席に着いた。

ウィリアムと対等な立場にあるその中年の男は、軍部の人間だった。強力な後ろ盾があるに違いない。ウィリアムの紹介がなければ、ヒルダのような人間が会える相手では決してなかっただろう。

彼女は助手に合図し、関連書類を手渡させた。

「こちらが迷彩機能に関する研究資料になります。私たちが長年積み上げてきた成果のすべてが、そこに記されています」

相手は笑みを浮かべて書類を受け取った。短い会談を終えると、彼らはその資料を携え、秘密の通路を通って立ち去っていった。

来た時と同様、去り際も人目を忍んでいたため、新聞社の人間は誰も、これほどの大物...

ログインして続きを読む