チャプター 1121

レックスはどうやって結婚披露宴の会場を後にしたのか、自分でも分からなかった。一歩踏み出すたびに胸をナイフでえぐられるような痛みが走り、生まれて初めてどうしようもない無力感に襲われていた。

『シャマエタを傷つけた連中が目の前にいるというのに、俺には奴らを裁く力がない……』

我に返ったとき、彼は屋外に立ち尽くしていた。

『あの電話にさえ出ていれば……』

電話に出たところで、何も変わらなかったことは分かっている。結局のところ、連中は彼女を害そうとしただろうし、彼女は絶望のあまり八階から飛び降りていただろう。

それでも、彼は罪悪感に苛まれずにはいられなかった。

ヒルダは電話をかけ、リナック...

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