第1299章

気温は相変わらず低かった。

ヒルダは体が重く感じられ、家を出るのが億劫になることが多かった。しかし、午後になって気温が少し上がると、ケーターがドアをひっかき、散歩に連れて行けとせがんでくるのだ。

今日は日差しこそ明るいが、寒さはいつも通りだった。寒がりなヒルダは、手足が冷えやすかった。厚手で暖かい服を着込んでいても体温は下がり、外に出るとやはり寒さを感じてしまう。

手を取り合い、二人は近くの雪原を散歩した。まだ溶け残っている雪はふわふわとしていて、歩くたびに二人の足跡が刻まれた。

二人は雪の中をゆっくりと歩いた。

こうしてのんびりと散歩をするのは久しぶりのことだった。

だが、犬が嬉...

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