第1365章

ルナが靴を履き替えていると、その後ろからクラウスが姿を現した。彼は軍用コートを脱いで丁寧に掛けると、その下に着ていた黒いセーターがあらわになる。一言も発することなく、彼はルナと共に中へ足を踏み入れ、その深い緑色の瞳で、その場に居合わせた全員をじっと見回した。

全員が彼に視線を集中させる。

ただならぬ気配だ。

しかし、彼は立ち去ることを選ばず、靴を履き替えて屋敷へと上がった。

ヒルダが熱烈に出迎えた。「クラウス、来てくれたのね? さあ、入って座ってちょうだい! それとルナ、あなたは早くシャワーを浴びてきなさい。すごく寒そうじゃないの」

すると、ルナはクラウスの方を振り向いた。「クラウス...

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