チャプター 17

ヒルダはすがるような目でレックスを見上げた。その瞳には絶望の色が浮かんでいた。二人の視線が合ったその瞬間、ドアをノックする音と共にカルメンの声が響いた。

「ヒルダ? まだ中にいるの? もうすぐケーキカットの時間よ。おばあ様の大切な日なんだから、一緒にお祝いに行きましょう」

返事がないとわかると、彼女は続けた。「ヒルダ? いるんでしょう?」

ヒルダは両手で太ももをつねり、薄れゆく意識を必死に繋ぎ止めながら顔を上げた。薬の効果に屈しないよう懸命に抗い、彼女は冷ややかな目でレックスを睨みつけた。「両親とグルになってこんなことを? 本当にここまでする必要があったの?」

レックスはヒルダの問いを...

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