チャプター 305

それを見たヒルダは、ギャスパーに電話をかけた。「今夜、ターディは雷雨なの?」

電話を切った後、ヒルダは母の遺品の荷解きを続けた。写真やノート、そして産着の他には、これといって目ぼしいものはなかった。それでも、彼女はそれらを几帳面に片付けた。暇ができたら、これらは全部燃やしてしまおう。

最後に、彼女はそのノートに目を留めた。

日記を机の上に置くと、最初のページの文字を眺めた。万年筆で書かれたその筆跡は、実に美しいものだった。まるで書道の手本のようだ。ヒルダは無意識のうちに、これは男性が書いたものだと感じ取っていた。

好奇心に駆られ、彼女は最初のページを開いた。黄ばんだ紙の上に、万年筆で書...

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