チャプター 36

大画面に流れるリアルタイムのコメントが、会場の熱気を最高潮にまで煽っていた。

観客のほとんどは、これからがヒルダの出番であることなど完全に忘れ去ったかのように歓声を上げ始めた。

「クレモンさん、何か見せてくれよ!」

「やってくれ! やってくれ!」

ネイサンは即座に手を振って否定した。「まさか。もう十年もこの機械には触ってないんだぞ。今さらやったところで、サミュエルの二の舞で恥をかくだけだ」

それを聞いたサミュエルは心の中で毒づいた。(ふん! あれが恥ずかしいことだって自覚はあるんだな! 元はと言えばお前のせいだろうが!)

しかし、ファンはお構いなしだ。「やって! やって! 何か見せて!...

ログインして続きを読む