チャプター 348

映像作品としての完成度は非常に高かった。テンポは適切で、BGMも情感豊かに響く。クオリティは申し分なく、編集も見事なものだった。ただ一点、ヒルダを除いては。

ヒルダが画面に登場するたび、映像全体の構図やカラーグレーディングがまるで別物のように変わってしまうのだ。メイクも作品のスタイルと完全に不協和音を奏でていた。他の出演者たちが薄化粧で優雅かつ適切な雰囲気を醸し出しているのに対し、ヒルダだけが衣装にそぐわない厚化粧を施されていたのである。構図、アングル、カメラ位置も大きな問題だった。素人の目には具体的に何が悪いのかは分からないかもしれない。だが、抱く感想はただ一つ――「不細工だ」ということだ...

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