第五十三章

その構成員はヒルダの起爆装置を握っていたが、麻痺しているはずの彼女が突然軽やかに跳ね起き、彼を殺害した。男が絶命すると、その手から起爆装置が地面に落ちた。

誰もが本能的に頭を抱え、身構えた。全員の脳裏をよぎったのはただ一つ、これで死ぬという恐怖だけだった!

しかし、彼らが予期していた爆発は起きなかった。ヒルダは身をよじらせ、どこからともなく取り出した短剣を、クレモン老人を監視していた構成員に向かって投げつけたのだ。

刃は男の胸に深々と突き刺さった。男は反射的に胸に手を伸ばし、その拍子に握力が緩んで、彼が持っていた起爆装置も地面へと落下し始めた。

ヒルダは猛然とダッシュしてその起爆装置を...

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