チャプター 61

「待って。ここで降ろして」

ヒルダはそう言った。彼女にはグロリアに会うつもりも、ネイサンが行くのを止めるつもりもなかった。

ネイサンは彼女を見やり、その気分の変化を感じ取ったが、何が彼女を不機嫌にさせているのかまでは分からなかった。

「なあ、もしグロリアを追っている連中が彼女を捕まえたら、最悪の事態になるんだ」彼は辛抱強く説明した。

しかし、ヒルダは答えなかった。ただ一人で行くように促すだけだった。

「分かってるわ。でも、私がついて行ったら足手まといになるでしょう? そう思わない? もしあなたの邪魔になったらどうするの」彼女はそう言って彼を納得させようとした。

彼女の言い分にも一理ある...

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