第657章

一方、ネイサンは飛行機を降りるやいなや、マークからの電話を受けた。

「ネイト、今年の正月はターディ・シティで過ごさないつもりか?」

ネイサンは滑走路を歩きながら答えた。

「今年はヒルダと海外で年越しすることにしたんです」

機内から一歩足を踏み出すと、むっとするような熱風が二人を出迎えた。

ターディ・シティでの厳しい冬の寒さに耐えてきたヒルダは、急いでコートを脱ぎ捨て、薄着に着替えた。そして、心地よさそうに彼の前を歩き出した。

「北の方って最高ね!」

彼は老人の話を上の空で聞き流しながら、ただ彼女の姿を目で追っていた。

「ネイト、ブリアナはこの二日間ひどく落ち込んでおる。一体全体、二人...

ログインして続きを読む