チャプター 678

一方、アフリカの砂漠の真ん中に、ある名もなき町があった。そこは非常に辺鄙な場所だった。利用できる資源は何もなく、軍事的な要衝というわけでもない。奇跡的に戦火はこの町まで及んでおらず、今のところは平和と調和が保たれていた。

だが、周囲を取り巻く暴力的な空気は、日に日にこの地を蝕んでいた。町の状況は緊張を増し、麻薬が蔓延し、暴力沙汰も日々増加の一途をたどっていた。

町で唯一の本屋の店主は、一人の女性だった。

こうした状況下で最も儲かる商売といえば、決まって病院か葬儀屋、あるいは銃器を扱う店だ。本屋にはほとんど客が来ないが、それでも長年営業を続けていた。そして、その美しい女主人はここに住み着い...

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