第696章

昨夜の雪のせいで、雪原に残された足跡がくっきりと浮かび上がっていた。どうやら今朝ついたものらしい。

ヒルダは墓前にしゃがみ込み、その真新しい足跡をぼんやりと見つめた。

小さな足跡が続いており、その中央には見覚えのあるクマのマークがあった。一歩ごとに刻まれるクマの形が、靴の持ち主の無邪気さを物語っている。その隣には、成人男性のものと思われる大きな足跡も並んでいた。

ヒルダは足跡を観察しながら小首をかしげ、好奇心に駆られてクマの足跡の横に自分の足をそっと並べてみた。

大きな足跡が、中央の小さなクマの足跡を囲むように配置されている。まるで三人家族の足跡のようだった。

ヒルダは無表情のままそ...

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