チャプター 803

ブリアナの病室の前には、二人の助手が門番のように立ちはだかっていた。廊下を歩いてくるトーマスの姿を認めると、彼らは慌てて前に進み出て、その行く手を阻んだ。

そのうちの一人が口を開いた。「ブリアナお嬢様は、現在レックス様とお話し中でございます。邪魔をしないようにときつく申しつかっておりますので」

話し合いだと? トーマスはいぶかしんだ。今日の午後に控えている重要な会議よりも優先すべき話し合いなど、一体何があるというのか。

今日はジョーダン・グループとの交渉が決まっている日だ。リナックスと和解し、良好な関係にあるとはいえ、遅刻などレックスの流儀ではない。それに、レックスは常に自分を律し、時間...

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