第843章

その瞬間、全員が彼女の部屋に集まっていた。トーマスが彼女を慰めるように口を開く。

「大丈夫だ。案外、すぐに戻ってくるかもしれない」

レックスは、ネイサンがケーターに二ヶ月も物資の運搬をさせたこと――おかげで彼の愛犬まで筋肉質になってしまったこと――に腹を立てていたが、この事態を前にして、そんな怒りはどこかへ消え失せていた。

彼は不安を隠せない様子でカイルを問い詰めた。

「なんで司令官に行方不明者の捜索なんてさせたんだ? ボスだぞ。もし何かあったらどうするつもりだ」

カイルもまた、沈痛な面持ちだった。

最初はネイサンと一緒だったのだ。しかし、視界を奪うほどの猛吹雪に見舞われ、瞬きする間に...

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