第94章

夕食後、ヒルダは猫たちに食事を与えた。古代皇宮の警備兵たちは、彼女が餌やりを終える頃合いを見計らって、のんびりと猫を引き取りに来た。今回はハープも一緒に送り返してきた。

ハープを目にした瞬間、ヒルダは怒りのあまり何かを叩き壊したい衝動に駆られた。以前、彼らがこれを持ち去った時は、まるで嫁入りする花嫁を送り出すかのように、手袋をした六、七人がかりで輿(こし)に乗せ、爆竹こそ鳴らさなかったものの、それはそれは丁重に扱っていたのだ。それからたった二日しか経っていないというのに、今は輿はおろか手袋すらせず、猫用のカートに乗せて送り返してくるとは!

「ボーウェン家というのをご存知ですか? 旧王族の一...

ログインして続きを読む