第5章
目を開けたとき、救急処置室は真っ白だった。
胃の奥が空っぽみたいに感じた。八か月かけて覚え込んだ、あの小さくて絶え間ない動き――それが、消えていた。
「目が覚めたな」
宗介が、両手で私の手を包み込んでいた。目は真っ赤で、切れた血管がまだらに走っている。顎には無精ひげ。まるで一晩で十歳老けたみたいだった。
私は何も言わなかった。天井を見つめ、涙が流れるのに任せた。
「赤ちゃんが」やっと口にした。
「いなくなったのね」
宗介は私の掌に顔を押しつけた。熱い涙が、手の甲に落ちた。
「ごめん」声は壊れていた。
「間に合わなくて、ごめん。二人とも守れなくて、ごめん」
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