第7章

百合子視点

建物のドアが閉まる。

シャワーを浴びたばかりのタイミングで、誰かがドアをノックした。

覗き穴を覗くと、紙袋を提げた大悟がいた。

ドアを開ける。

「飯、買ってきた」

二人で私の小さなテーブルにつく。中華のテイクアウト。安物だけど、温かい。

「全部、片付いたか?」

「うん」私はフォークで唐揚げを掴む。「全部終わった」

彼は私を見つめる。「なんて言われた?」

「戻ってこいって」

彼のフォークが口元で止まる。

「断った」

彼はほっとしたように、また食べ始める。でも、隠そうとしている笑みには気づいた。

「理由、聞かないの?」

「...

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