チャプター 171 チャプター 0171

イーサン視点

部屋の中は消毒液と消毒用アルコールの匂いが微かに漂っていた。主治医が腕のギプスについたベルクロのストラップを調整すると、彼女のラテックス手袋がわずかにきしむ音を立てた。ギプスが外れた瞬間、肌がちくちくした――痒く、こわばり、まるで自分のものとは思えない感覚だ。指をゆっくりと曲げ伸ばしすると、その一つ一つの動きが、ローマンに負わされたダメージを思い出させた。

肘から肩にかけて鈍い痛みが広がったが、耐えられないほどではない。これは進歩だ。

「腕を伸ばしてみてください」主治医が、彼女特有の冷静で事務的な口調で言った。

俺はゆっくりとそれに従った。馴染みのある鋭い痛みが筋肉...

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