チャプター 21 チャプター 021

ローマン視点

ようやく自宅の私道に車が着くと、見慣れた黒いレンガと高い木々が、いつもと同じように俺たちを出迎えた。運転手がエンジンを止めると同時に、俺は時間を無駄にしなかった。ドアを押し開けて外に出ると、冷たい風が顔を撫で、思わず静かに息を吐く。ほとんど習慣でスーツのジャケットを直し、生地を撫でつけながら玄関へと向かう。足取りはしっかりしていたが、疲労が滲んでいた。すぐ後ろから、ローレンの控えめな足音がついてくるのが聞こえた。

今日はすっかり気力を使い果たしてしまった。自分に残っていると思っていた最後のエネルギーの一滴まで、オフィスで根こそぎ搾り取られた気分だ。仕事は山のように積み上がって...

ログインして続きを読む