チャプター 58 チャプター 058

ローレン視点

数分もしないうちに、テスが私のメイクを仕上げてくれた。彼女が全部自分でやると言って聞かなかったから、私は指一本動かさなかった。正直、その腕前は見事なものだった。テスにこんな才能があったなんて、知らなかったのだ。ファンデーションは肌に完璧に馴染み、コントゥアリングは大理石を彫れそうなほどシャープで、リップは大胆でありながらもエレガントだった。それでも、少しやりすぎじゃないかという思いが拭えなかった。ここはガラパーティーやファッションショーの会場じゃない。ナイトクラブなのだ。暗くて、騒がしくて、点滅するライトで溢れた場所で、丁寧にぼかされたアイシャドウに誰が気づくというのだろう?

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