チャプター 60 チャプター 060

ローレン視点

もしかしたら、ただの間違いかもしれない。クラブのスピーカーから鳴り響く重低音のビートみたいに、その考えが頭の中をぐるぐると回っていた。だって、ここは満員なのだ。ここにいる大勢の男たちの中から、どうして彼だと確信できるだろう?

今夜、赤いシャツを着た男はたくさんいた。真紅、緋色、えび茶色。明るいものもあれば、暗いものもある。夜遊びには人気の色だ。私の目は絶えず部屋の中をさまよい、あちこちで赤い布地がちらつくのを捉えていた。それに、論理的に考えれば、さっき見かけたと思った男にはボディガードがいたのだ。鋭い目つきに広い肩幅――普通のクラブ客には見えない男たち。彼らのことには気づいて...

ログインして続きを読む