チャプター 64 チャプター 064

ロマン視点

「ベッドに連れてくる気はないって言ってなかった?」彼女はそう尋ねながら、人差し指で俺の胸を気だるげになぞった。

羽のように軽い感触。それなのに、全身の神経を圧迫するような重みを伴っていた。言葉をまとめようとするが、喉がからからに乾いているのが分かった。

「君を助けるために連れてきたんだ」俺は首筋に熱が上っていくのを感じながらも、声を平坦に保った。

彼女は首を傾げ、唇の端を吊り上げてからかうように笑う。「それで、助けてもらったわけだけど、この後はどうするの?」

俺はゆっくりと息を吸い込み、自分を落ち着かせる。「まあ、今の状態で下に戻るのは無理だろう。少なくとも、アルコールが...

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