第103章

足首の傷なんて、もともと大したものじゃない。

それでも病室で三日も過ごせば、松原南はもう落ち着いていられなくなっていた。

医師の許可が下りるなり、彼女はさっさと荷物をまとめて退院の準備をする。

ただ――どう考えても。

今日は退院に向く日じゃない。

少なくとも、彼女にとっては。

「よぉ、松原様がどうして病院なんかに?」

病室を出た途端、真正面からぶつかるようにして、南がいちばん会いたくない相手が現れた。

白原明子。眉をつり上げ、目の奥に走った一瞬の後ろめたさを、すぐに笑いで塗りつぶす。

いつも通りの、他人の不幸が楽しくて仕方ない顔で南を上から下まで眺め回し――

「デザイナー...

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