第107章

和田好史は彼女を二秒ほど見つめ、ふっと笑った。

「そんなに身構えるな。大したことじゃない」

脇から紙の束を取り出し、そのまま松原南の前へ置く。

「これは……?」

松原南は訝しげに目を落とし、柔らかく笑みを作った。

「和田様、これが全部書類でしたら、私ひとりではとても捌ききれません。買いかぶりすぎです」

へりくだった口調。けれど、その瞳の奥に一瞬だけ冷たい光が走る。

「いやいや、謙遜が過ぎる。町谷弁護士の右腕なんだろ? その程度で詰まるとは思えないな」

和田好史は拒まれたことなど気にも留めず、勝手に話を進めた。

「町谷弁護士には確認済みだ。あっちは異議なし。あとは君がどうする...

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