第111章

ところが、藤原傑はただ淡く目を伏せただけで、次の瞬間には驚くほど自然な手つきで串焼きを手に取った。気取ったところなんて、欠片もない。

「お気になさらず」

落ち着いた声で言う。

「当然のことですから」

――そんな台詞、彼の口から出るものだろうか。

けれど当の本人は、少しも不自然だと思っていないらしい。

松原南は、言いかけていた言葉を喉の奥へ飲み込んだ。

ほんの短い間に、二人の距離は本当にここまで縮まったの?

……やっぱり、自分が考えすぎていただけなのかもしれない。

クルミみたいな子を、嫌いになる人なんていない。

藤原傑だって、例外じゃない。

串焼きを受け取った彼を見て、ク...

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