第114章

その言葉が落ちたきり、二人ともそれ以上は何も言わなかった。

空気だけが、妙にねじれていく。

松原南は唇を噛む。こういう沈黙に慣れていない。

話すことがないわけじゃない。けれど、どちらも電話を切らないまま、互いの浅い呼吸だけが耳に残った。

南は目を伏せ、目の前の革張りのシートの背もたれをじっと見つめる。頭の中が、うまく整理できない。

乗り込むとき、少し休もうと思って、わざわざ後部座席に座った。今はその判断が、逆に助けになっている。枕代わりのクッションに頭を預けながら、藤原傑にどう話題を振るべきか、ぐるぐる考え続けた。

このままじゃ、気まずすぎる。

藤原傑はいま、何を考えているんだ...

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