第117章

帰りの車内は、息が詰まるほど重かった。仕切り板がゆっくりと上がり、前後の座席は完全に遮断される。

「藤原さん、来てくれて助かりました」

松原南は視線を逸らし、目の前のわずかな床だけをじっと見つめた。

「じゃなかったら、どうなってたか……」

今日は、彼女の落ち度だ。

焦りすぎた。父を傷つけた相手を、今すぐ捕まえたくて。

そのせいで、護衛たちも怪我をした。

それに――。

松原南は唇をきゅっと結ぶ。さっきぶつけた肩が、まだじんわり痛む。

最初は、自分ひとりでどうにかできると思っていた。

藤原傑が先回りして人を手配していなければ、単身で突っ込んだところで殴られて終わり、手がかりひ...

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