第123章

部屋へ逃げ込むように戻ってから、松原南は久しぶりに眠れなかった。

目を開けたまま天井を見つめていても、まだ信じられない。

彼女……藤原傑と、キスしたの?

相手は藤原傑だ。

いったい何をどう間違えたら、あんなことを口にしてしまうんだろう。

明日、どんな顔で会えばいいの?

松原南は布団を勢いよく頭まで引き上げ、熱を持って火照る頬をその中へ押し込んだ。

いつの間にか眠っていたらしい。

次に目を開けると、クルミがつま先立ちでベッドの脇に立っていた。むちっとした小さな手には、どこで摘んできたのか白い小さなデイジーが一輪。枕元へそっと置こうとしている。

「ママ、起きた!」

起き上がろ...

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