第128章

ドアが押し開けられ、入ってきたのは四十歳前後の中年の女性だった。丸い顔に短い髪。薄いグレーの普段着をすっきり着こなし、清潔感がある。

彼女は入るなり松原南ににこりと笑いかけた。作りものではない、まっすぐな笑み。

「松原さん、こんにちは。周防保美と申します。周防さんって呼んでくださいね」

手には保温容器を提げていて、ベッドサイドの棚にそっと置く。

「藤原さんが、入院したばかりだと慣れないだろうって。食べ物を少し持っていくようにって言われたんです。私が煮込んだ鶏スープなんですけど、口に合うかしら」

松原南は一瞬、言葉を失った。藤原傑が、こんな細部まで手配しているなんて。

胸の奥に、う...

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