第16章

松原南はすっかり取り乱していた。手にしたスマホをきつく握りしめ、今にも画面を握り潰してしまいそうなほどに。

傍らの白い壁も、彼女の顔色と比べれば見分けがつかないくらいだった。

もしかすると、江村成宏は今は彼女と話したくないだけで、約束を反故にするつもりだと決まったわけじゃない。

そう自分に言い聞かせ、必死に気持ちを落ち着かせる。

江村成宏に電話がつながらないなら、白原明子に当たってみるしかないのではないか。

けれど……。

どうすれば白原明子の連絡先を手に入れられるのだろう。

そこでようやく、松原南は思い至った。

あれだけ何度もやり合ってきたというのに、互いの電話番号すら知らな...

ログインして続きを読む