第17章

最上階の社長室で、江村の父は顔色を悪くしていた。

ソファに腰を落とし、さっきまでの怒気は押し殺している。けれどスマホの画面だけを凝視したまま、深く考え込んでいた。

江村成宏がドアを開け、目にしたのはその光景だった。

歩み寄りながら、腑に落ちないという顔で言う。

「父さん、そんなに急に呼び出して。何かあったのか?」

甘い時間の余韻を引きずったまま戻ってきたせいか、眉間には苛立ちが滲んでいる。

江村の父はその様子を見て、いっそう腹が立ったらしい。情けない、とでも言いたげな視線が刺さる。

「自分で見ろ。こんなものが外に出たら、おまえの名誉だけじゃない。江村グループの評判まで傷つく。何...

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