第27章

白原明子は顔色を悪くし、冷笑しながら言い放った。

「能無しは能無しよ!」

松原南は苛立つ素振りすら見せない。

「この前、病院で白原さんを見かけた気がしたんですが……まさか、どこか具合でも?」

もちろん、南は病院で白原明子など見ていない。

だが次の瞬間――。

白原明子の顔から血の気が引いた。下唇を噛み、平静を装って否定する。

「何を言ってるの? このところ仕事が立て込んでて、ずっとスタジオにいたわ。病院なんて行ってない。人違いよ」

松原南は口元を吊り上げた。

まだ、白を切るつもり?

あの日のクルミの青い顔が脳裏に浮かび、胸の奥で怒りがどろりと煮え立つ。

「じゃあ、私の見間...

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