第31章

江村成宏の呼吸はやけに荒かった。怒りが隠しきれていない。

拒絶の言葉が喉までせり上がる。だが彼は奥歯を噛みしめ、いったんそれを飲み込んだ。

――だめだ。

クルミが持つ株は、彼にとってどうしても必要だった。

この程度の屈辱など、株さえ手に入れてしまえばあとでいくらでも取り返せる。

江村成宏は深く息を吸い、歯の隙間から絞り出すように言った。

「いい。数日内に医者を手配して手術をやらせる。ただし――約束は、言ったとおりに守れ。絶対だぞ」

松原南は楽しげに「うん」とだけ返事をし、躊躇なく通話を切った。

胸のつかえがもうすぐ取れる。そう思うだけで、肩から力が抜けた。仕事の景色さえ、いつ...

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