第33章

意外だった。

聞き慣れた声は聞こえてこない。代わりに耳に飛び込んできたのは、ひどく癇に障る別の女の声だった。

「諦めなさいよ」

白原明子は甘ったるい声で、鼻で笑うように言った。

「まさか子供を頼りに、また江村家に戻れるなんて本気で思ってるんじゃないでしょうね。寝言は寝て言いなさい」

松原南は微動だにしない。

「そこまで自信満々なら、今さら何を怯えてるの? もう江村の奥様なんでしょう? ああ、そっか」

「何がそっかなのよ?」

白原明子の声に露骨な苛立ちが混じる。

松原南はわざと意地の悪い調子で言い放った。

「江村成宏は自分の子供を持てない。だから焦ってるんでしょ?」

「あ...

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