第49章

松原南は、車を降りたあと人目を引くかどうかなんて、もう気にする気にもなれなかった。

どうせ、誰も自分のことなんて知らない。

恥ずかしいなら恥ずかしいでいい。

「どうしてですか?」

藤原傑はすぐには頷かず、淡い視線を彼女に落とした。

「具合でも悪いのか」

見ればわかる。明らかに様子がおかしい。

しかも間の悪いことに、今回は松原南は右側に座っていて、身体を支えられるのは右手だけだった。

その右手は、以前の怪我のせいでひどく力が入りにくい。

ほんの少しの間だというのに、もう限界が近かった。今にも身体がぐらりと崩れ落ちそうになる。

もう誤魔化せない。

松原南は観念して、苦く笑っ...

ログインして続きを読む