第55章

彼女の好み――?

松原南は少し驚きつつ、メニューを受け取ってさっと目を走らせた。

「どうして私の好きなものがわかるんですか?」

眉を上げ、冗談めかして言う。

「まさか、昔から私が何を食べるか見てたとか?」

場を和ませるつもりで口にしただけだった。

けれど、まさか。

向かいの男は本当にうなずき、肩の力の抜けた笑みまで浮かべた。

「知らなかった? 昔、君に片想いしてたんだ。だから食事のときは、つい何を食べるのか気になって見てた。まさか今でも覚えてるなんてね。案外、記憶力は悪くないらしい」

あまりに唐突な告白だった。

まるで不意打ちでも食らったみたいに、松原南の頭が真っ白になる...

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