第63章
待ち合わせ場所は、結局――藤原グループからそう遠くないカフェに落ち着いた。
ネットの噂は相変わらず騒がしく、誰もが面白半分で首を突っ込みたがる。
けれど松原南の胸の内は、どこか奇妙だった。
あの二人が自業自得の結末を迎えたときも、仇を討ったような痛快さは湧かなかった。
それなのに、今は……。
「最近、いかがお過ごしでしたか?」
鈴木が顔を上げ、落ち着かない様子で指先をこすり合わせた。
「手を怪我されてから、ずっと消息を探していたんです。でも、そういうときに限って、いつも誰かに面会を止められて……原稿のほうも……」
見たところ二十五歳前後。まだ若さの残る年頃だ。
今は目を伏せ...
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