第83章

藤原傑の後ろ盾があるだけで、松原南は動くたびに腹が据わった。

「あなた、前に江村成宏のところでこの件の話を盗み聞きしたって言ってたでしょ。だったら、そのとき見かけた連中から当たってみたら?」

北野紫苑はソファにもたれ、クッションを抱えたまま顎を乗せる。

「その中に、前にあなたのお父さんと関わりがあった人がいるかもしれないし」

たしかに、悪くない切り口だ。

松原南は眉を寄せ、しばらくしてから小さく息を吐いた。

本当は、この件を親友に話すつもりなんてなかった。知っている人間は少ないほどいい。

――江村成宏が、たった一つの推測だけで、彼女の周りの人間に手を出した。

それを思い出すだ...

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