第84章

町谷勝矢は、結局断らなかった。

松原南は彼を、以前からよく知っている店へ連れていく。

「ここ、学生の頃によく食べに来てたの。気に入るかどうかわからないけど」

少し照れたように笑い、「でも、昔『あなたも中華が好き』って聞いたことがあって……勝手にここにしちゃった。もし好みじゃなかったら、別のお店に変えよう?」

勢いに任せて、何も聞かずに連れてきてしまった。

いまになって頭が冷えてくると、どこかズレていた気がしてくる。

松原南はますます気恥ずかしくなり、耳のあたりまでうっすら赤く染まった。

嫌いだったら、店を変えたほうがいい。

「そんな昔のこと、覚えててくれたんだ」

町谷勝矢は...

ログインして続きを読む