第85章

「つまり――前に、江村成宏があの社長室から出てくるのを見たんだな。書類を握ってて、株とか……そういう文言があった、と」

彼女は考え込むように顎へ指を当てた。

「それなら、二人の間には表に出てない取引があったのかもしれない。……うちの件とも関係してる可能性、あるよね。ただ、その社長が中でどんな役をやってたのかは――まだわからないけど」

以前、父はその「親友」を、相当に重く見ていた。

もしかすると、何かの話し合いの最中に、あいつが横領だの不正だのの「証拠」を会社に紛れ込ませた。そうして松原グループは転げ落ちた――そんな筋書きだって、あり得る。

「今のところ決定的な証拠はない。ひとまずは...

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