第87章

江村成宏はすでに、身の回りでもっとも頼りになる人間に、この件の調査を命じていた。

だが相手は――藤原傑だ。

「つまり、お前の話だと松原南は今、海外で試合に出ていて、しばらく戻れない……そういうことか?」

江村成宏はどこか引っかかる顔で、疑いを含んだ視線を目の前の男へ向けた。

数日前、藤原グループで松原南を見かけたばかりだ。それが今日になって、急に海外へ派遣されたと言われても――。

以前から決まっていた予定だとしても、出来すぎている。妙に噛み合いすぎる。

胸の奥がざわついた。

報告している男は、冷や汗が滲みそうなほど青ざめている。むしろ自分の無実を叫びたいくらいだろう。

自分は...

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