第96章

藤原傑は伏せたままの目で、目の前の女から視線を外し、病床へと落とした。

「容体は?」

珍しく問いかける。

「医者はなんて言ってる」

最初から最後まで、労わる言葉のひとつもないのに。

松原南は、彼と数秒言葉を交わしただけで、なぜか胸のざわめきがすっと引いていくのを感じた。

「外傷と強い刺激が原因で、昏睡状態だそうです」

まだ喉が詰まり、声が震える。

「でも詳しいことはこれからの治療次第で……たぶん、大事にはならないって」

父の身体はもともと丈夫じゃない。

それなのに、獄中で長い時間を擦り減らし、同房の連中に目をつけられて――。

考えたくない。父がそこでどんな日々を送ってい...

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