第99章

本当に、みっともない。

松原南は手を上げて顔を覆い、これから訪れるであろう気まずい場面と向き合いたくなくて俯いた。

羞恥と苛立ちで全身がうっすら赤く染まり、胸の内で小さく縮こまる。現実から目を逸らして隠れる兎みたいに。

そもそも、私たちって恋人ですらないじゃない。

人を抱えてトイレに連れていくなんて、こんなにプライベートな行為をしておいて、藤原傑は何も思わないの?

今日という今日は、顔という顔を全部失った気分だった。

……ところが、予想外だった。

藤原傑は彼女を浴室へ運ぶと、便器の横へそっと下ろしただけ。

視線を落とし、淡々と言う。

「終わったら呼べ」

「えっと、私……自...

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