第53章 婚約を発表する

周りの歓声と拍手が彼の耳の中で徐々にぼやけていき、まるで世界全体が彼から隔絶されているかのようだった。

山崎霧の心に虚しさが込み上げてきた。この結婚指輪が彼と北野美月の間の架け橋になると思っていたのに、今はまるで重い石のように、胸を押しつぶしていた。

彼の指先がわずかに強張り、指輪を握る動作に力が入った。

「二人やつ、どこへ行ったんだ?」山崎霧は心の中で吠えながら、表情の笑顔はますます硬くなっていった。

林田優子が彼の隣に立ち、幸せな笑顔を浮かべていたが、山崎霧はその甘さを感じることができなかった。彼女の楽しげな笑い声が彼の耳には耐え難く響き、まるで彼の喪失感と無力さを嘲笑っているか...

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